高齢者ドライバーに関係したニュースを見るたびにドキドキ。
なぜかと言うと、私の身近にも高齢者ドライバーがいたから。
それは、私の義父。
今は夫の転勤で両親とは遠く離れていますが、当時は実家まで徒歩5分の距離に住んでいました。
義父は72歳になった現在も、仕事に使う機材を載せたトラックで長距離を走行。
「高齢者がトラックで、長距離を走る」
なんだか、危険な香りがしませんか。
「さあ、どうしよう」
私が悩んでいたところ、義父はすでに安全運転を続けるための努力と工夫を始めていたのでした。
そういえば、ウチの義父は医療者として10年以上も高齢者と関わってきた私から見ても頼りがいがあって、しっかりしています。
そのお陰か、今でも義父は無事故で運転を続けています。
しかし、「親の運転について」話し合わなければいけない場面は、またいつか訪れます。
今回、同じ状況に直面したあなたのために、私が実際の経験を通して実感した「親の運転」で話し合うための準備とコツをお伝えします。
義父が「安全運転を続ける」ため実践している事についても書いていますので参考にして下さいね。
この記事を読んだ後は、あなたも自信を持って親との話し合いに望めますよ。
親の運転で話し合う前にやるべき事とは
「自分の両親がもしかしたら、交通事故の加害者になるかもしれない。」
心配ですよね。
私の義父は、すでに運転歴30年以上。
「72歳だし運転は危ないからやめてほしい」と、ずっと思っていました。
でも義父の運転する車に乗せてもらって、その気持ちが大きく変わることに。
義父さんの運転は、私より上手だわ。
それ以来「高齢でも体と心が元気だったら運転できるかも」と思えるように。
もし親が運転を続けたいという強い思いがあって、元気だったら「運転をやめる」以外の選択肢もあります。
そのためには、まずは両親の健康状態を知る事が大切ですよね。
ですので、親の運転で「話し合う前に確認する事」についてお伝えします。
- 親は、運転できるほど健康ですか
- 親戚や周囲の人の意見
- 両親の運転に対する思い
- 親が運転をやめた後のサポート体制
さっそく、なぜ上記の内容を確認していただきたいのか、具体的に説明していきますね。
親は、運転できるほど健康ですか
高齢者に限らず安全運転するためには、事故の原因となるような「身体の不調がない」のが鉄則です。
まずは、健康状態を確認しましょう。
年齢を重ねて行くと、体の不調も目立ってきますよね。
私の義父が感じていた不調は、こんな部分でした。
腰痛は運転の支障になるほどではなかったのですが、「最近少し見えにくいような。」と、視力は義父も不安だったようで病院の定期受診で眼科も受診。
先生から「白内障」と言われたそうです。
そして、医師の勧めですぐに手術を受けました。
「手術して、よく見えるようにはなったけど、左からの光がまぶしく感じるから左折する時は、特に気をつけているよ。」
こんなに体調や安全運転に気を使っている義父なら「まだ運転は大丈夫」と安心。
今でも私は義父と電話で話をして、身体の調子を確認するようにしています。
次は、親戚や周囲の人の意見についてです。
親戚や周囲の人の意見を聞いてみよう
親の運転について話し合う場で、兄弟だけでなく親戚からの反対に合うことがあります。
無理に運転をやめさせるなんて、かわいそう。
本当に「運転をやめてもらわなければいけない状況」で、みんなの意見がバラバラだと親を説得するのは難しくなります。
なので、先に親戚や周囲の人と話しあって意見をまとめておきましょう。
ウチの家族の場合、夫の兄弟も「どちらでもいい」といった感じ。
今回は、義父が健康で運転を続けられる状態だったので、深刻な話し合いになりませんでした。
でも、「親に運転をやめてもらう状況」になった時のために、夫と話し合いは続けています。
日頃からの準備は大切ですね。
次は、親の運転に対する気持ちを確認しましょう。
親の運転に対する思いは
「親が運転したい理由」を知ることは、1番大切です。
「運転を続けたい理由」がわかれば、その原因もわかるので説得しやすくなります。
ウチの義父の理由を見てみましょう。
義父は会うたびに「もう仕事を辞めたいけど、まだまだ来てもらわないと困るって言われるんや。」と嬉しそう。
仕事が生きがいになっている義父は、きっと体が元気なら仕事を続けていくでしょう。
だから、運転も続けたいと考えていたのです。
義父は、仕事をやめるまで運転をあきらめるのも厳しそうですね。
こういった場合は、運転回数を減らす努力をしてもらいましょう。
上司に運転が不安な事を伝えたら、長距離を運転する機会が減ったよ。
義父は、上司と相談して運転回数を減らしてもらっています。
もし、運転をやめられない理由が「買い物や通院のため」だったら、親の代わりに買い物や送迎をすることで「運転の必要性」がなくなりますよね。
いくら自分の親でも、子供にはお願いしにくいもの。
親の気持ちも考えて、説得する側から親に寄り添いたいですね。
次では、運転をやめた後についても説明していきます。
親が運転をやめた後のサポート体制は
運転を続けている高齢者には、運転をやめたら生活できないと考えている方もいます。
地域によっては、車は生活の足。
1時間に1本だけのバスを待って、病院や買い物に出かけるのは高齢者じゃなくても大変ですよね。
義父の住む地域は、交通の便はいいので車がなくても生活できます。
しかし、車がなくなると重たい荷物が運べなくなるので「やっぱり不便」と感じているようです。
車がないと困る。
だから、「親に運転をやめてもらう」なら、具体的に運転をやめた後の生活のサポートも申し出たいですね。
ウチの家族は、夫の実家から遠く離れた場所にいるので、「運転をやめる時」が来てもすぐに両親をサポートできません。
ですから、親が困らないように、両親の住む市町村で受けられる免許返納後の特典やサービスなどを調べています。
遠くに住んでいても、サービスを使うと親のサポートができますよ。
ここまでは、「親の運転」で話し合う前に確認しておくべき項目についてお伝えしました。
いざという時、慌てないために日頃から準備しておきたいですね。
ここからは実際に「両親と話し合うためのポイントとコツ」をお伝えしていきます。
親と運転について穏やかに話したい
いよいよ、こちらからは「親の運転」について穏やかに話し合うためのポイントとコツをお伝えします。
どんな話し合いでも第1回目は穏やかに話を進めたいですよね。
もし初めの対話でもめてしまうと、その後の話し合いが親から拒否されてしまう事態に。
以下は、穏やかに話すためのポイントです。
- 両親との話し合いは、タイミングが大切
- 物忘れや判断力より体の不調を理由に
- 両親の身近な人や専門家の言葉も味方に
ここから、さらに詳しく見ていきます。
両親との話し合いは、タイミングが大切
両親と穏やかに話しを進めるためのポイント1つめです。
こちらでは両親が「運転が危ないと感じている場合」と、「感じていない場合」に分けて説明していきます。
普段、親の運転が心配と思っても伝えにくいですよね。
両親が「自分の運転は危ないかも」と自覚している場合は、すでに親が運転に不安を感じているので、周囲からの意見も受け入れやすいでしょう。
しかし、問題になるのは危険運転の自覚がなく自信をもっている場合。
引用元:https://www.irric.co.jp/topics/press/2019/1203.php
『年代別自動車運転に対する自信(2017年と2019年の比較)』というアンケートで「自分の運転に自信を持っていた」のは、70歳以上では50%以上という結果に。
危険運転の自覚がないのに運転しているって、恐ろしくないですか。
でも、このアンケート結果をみると「自分が危険運転をしている」って自覚しにくいんですね。
だから、親が運転に自信がある時は、慎重に話しをするタイミングを選ぶことが穏やかに話し合いを進めるためのコツになります。
高齢者にとって自信のある事を「できていない」とダイレクトに伝えるのは、その人を否定するのと同じだからです。
子供から否定されるなんてショックだ。
そんな場合は、親族が集まって楽しく過ごしている時が「話し合い」をするチャンス。
親が運転の話しが嫌でも周りから大切にされて楽しい気分だったら、親に話を聞く余裕があります。
ぜひ、機会を見逃さず両親と「運転について」話し合って下さいね。
話し合いを続けていくためには1回目の話し合いで、もめない事が大切ですよ。
物忘れや判断力より体の不調を理由に
両親と穏やかに話しを進めていくためのポイント2つめです。
「親の運転」を不安に思うようになるのは、以下の場合が多いようです。
- 親の身体や記憶力の衰えを感じた
- 親が周りをよく見ていないと感じる出来事があった
でも、車の運転に自信のある方なら「物忘れ」や「判断の衰え」という言葉に敏感です。
それは、運転が上手いと思っている自分の考えを否定する言葉だからです。
運転は、大丈夫だよ。
私の義父は、今でも仕事をバリバリこなして運転に対して自信のある方。
もし、私が「物忘れがひどくなった(認知面)」と伝えても自分で感じにくいので、すぐに受け入れられないでしょう。
そんな時は視力が落ちている、足が動かしにくいなど体の衰え(機能面)を理由にあげた方が自分でも自覚できるので、納得しやすくなりますよ。
両親の身近な人や専門家の言葉も味方に
両親と穏やかに話しを進めていくためのポイント3つめです。
両親と穏やかに話しを進めて行きたい、でも「すでに険悪な雰囲気」が漂っていたら。
なかなか身内だけで、親を説得するのは難しいかも。
そんな時こそ、両親が信頼している人や主治医など専門家の力を借りましょう。
運転は、辞めた方がいいですね。
子供の意見は受け入れにくい親も信頼している友人や主治医から「運転をあきらめるように」説得されると、あっさり運転をやめてしまう方もいるようです。
私の義父は、自分の体の不調について夫からのアドバイスは聞かなくても、私の意見には従ってくれます。
きっと、医療者として長年働いていた私の姿を知っているからですね。
親の意思を大切にしながら周囲の力も借りると、穏やかに話しを進める事ができますよ。
親の運転をやめさせるべきか迷ったら
「義父は、もう高齢だから運転をやめてもらいたい」と思っていた私ですが、義父はとても元気で運転が上手。
こんな時「親が高齢者だから」という理由で、運転をやめてもらうべきなのか迷いますよね。
こちらでは「運転をやめてもらうべきか」迷った場合の判断のポイントと、義父が安全運転のために実践している内容についてお伝えします。
辛くても「運転をやめて」というべき時
ここからは、周りから反対にあっても「親の運転をやめてもらうべき場合」についてお話していきます。
私は義父に下記のような事があれば、親が運転を続けたいといっても「運転をやめて」と伝えるつもりです。
- 主治医から運転をやめるように言われた。
- 歩くだけでも、介護が必要になった。
- 車の運転中、頻回にウィンカーを出し忘れる。
- 走行中、頻回に車線からはみ出す。
- 眼鏡をかけても、大きな文字が読みづらい。
- 大きな声でも音が聞き取れていない。
上記の内容は、あなたが見ても「運転して大丈夫」と不安になりますよね。
この中の項目で私が見ているのは、運転に必要な判断力や体の機能が残っているかです。
こんな感じで危険な運転をしているのに親の自覚がない場合は、やはり主治医にお願いして本人へ伝えてもらった方が説得力は大きくなります。
親との関係を悪くしたくない、その思いは私もよくわかります。
でも、「事故を起こす確率が高い」のであれば、たとえ親が激怒しても運転をやめてもらわなければいけませんね。
義父が安全運転のために実践したこと
では、私の義父が安全運転のために実践している努力と工夫をお伝えします。
- 白内障の手術を受けた。
- 目のために「サプリメント」を飲みだした。
- 仕事が休みの日は、毎日1時間ほど散歩している。
- 他の車や、物に近づき過ぎたらアラームで知らせてくれる機能を自分の車に付けた。
- 車で長距離を移動する時は、フェリーなど他の乗り物も組み合わせて疲れ過ぎないようにしている。
ここで紹介させていただいたのが「安全運転のため」に、義父が実際に行っている努力と工夫です。
高齢になれば体の機能が衰えてくるのは仕方ないのですが、そこを補ってくれるような車のサポート機能も増えていますね。
義父は自分の努力だけで補いきれないことに対して「医療と車の安全機能の両方」を上手く利用して、安全運転を続けています。
まとめ
私の義父は、現在もトラックで長距離を走っています。
高齢者の事故のニュースを見るたびに、いつもドキドキしていた私。
でも、72歳の義父が実践している安全運転への努力と工夫を知って少し安心しています。
今回は義父と話し合う必要性はありませんでしたが、義父のように運転に自信を持っている人に「運転をやめて」と伝えるのは難しいですよね。
私も、できたら義父との話し合いは避けたい。
でも、これが「運転をやめてもらうべき状態」だったら。
そんな時でも慌てないように、日頃から親族と「親の運転について」話し合っておくといいですよ。
この記事では、親の運転が不安になった時に穏やかに話し合いをするための準備とコツ、私の義父が安全運転のために実践している内容についてお伝えしました。
事前に準備をしておくと、自信を持って親との話し合いに望めます。
この記事を参考にぜひ、準備を進めてくださいね。
きっと、家族みんなが笑顔になる「いい解決策」が見つかりますよ。