私には縁遠いと思っていたエンディングノート。
仕事に家事に育児と、プライベートの時間はほんの一握りなので、老後を考えるには先の話。
それに、エンディングノートなんて「書く余裕がない!」と思っていました。
ついこの間までは。
ところが最近保険の見直しをしたときに、人生経験豊富なファイナンシャルプランナーさんからこんな一言。
「後先なんて考えずに、今からでも書いておいた方が家族にも自分のためにいいですよ」
若くして亡くなった人の家族を何人も見てきたことがある分、説得力の強さを感じました。
そう言われたら書かずにいられない。
とはいうものの、エンディングノートに対して漠然とした感覚しかないのでピンと来ません。
「終活」や「エンディングナントカ」という言葉がいっぱい出ているから、グーグル先生はきっと良い方法をたくさん持っているに違いない。
ということで、早速リサーチ。
この際だから始めてみるかな。
エンディングノートの書き方は自由
エンディングノートと遺言書の大きな違いは「法的効力があるかないか」ということ。
比較するとこんな感じです。
エンディングノート | 遺言書 | |
法的効力の有無 | × | 〇 |
予算 | 0円~数千円 | 数千円~数十万円 |
開封の タイミング | 生前、死後 どちらでも可 | 家庭裁判所で 検認手続きを おこなってから |
記載項目 | ・自分のこと ・延命治療や介護 ・葬儀 ・家族 ・資産 ・家族へのメッセージ | ・相続 ・遺産の処分 ・認知や後見人など ・遺言の執行 ・生命保険の受取 |
自分にはまだまだと思っていたから、エンディングノートも遺言書も「似たようなもんでしょ。」くらいにしか考えていませんでした。
遺言書はいわば「私の言ったことをきちんと守ってね」という死後にだけ有効なメッセージ。
開封するにしても法律に沿って進めなければならないため、何かと面倒さが先行してしまうのがネック。
一方エンディングノートは法的効力がないため、生前と死後の自分について「私に関わる○○はこんな風に対応してほしい」という置き手紙。
だから、「いつ」「どんなことを」「書いて」「開封するのか」も自由というわけです。
そんなに自由なら、今こうしている間に思いついたことも、忘れずにまとめておきたいくらいです。
只今、私の脳内タンスは開けることも閉めることも厳しい状態。
「はじめの一歩」が出にくい私にとってエンディングノートは始めやすいと感じました。
・書式や記載項目に決まりがない
・費用は0円から
・何度書き直しても良い
・生きているうちから誰でも開封できる
残りの人生を有意義にするという意味では、毎日少しずつ書く日記感覚で書くのが続けやすいかもしれません。
最低でも書いておくべき5項目
法的効力がなく書き方に決まりがないとはいえ、家族や大切な人が困らないようにしておくのは大事なこと。
遺言書などは法律に従った手順があるので、それに沿っておこなえばいいことですよね。
ところが、モノや契約類さらには個人のプライバシーにかかわることは、本人からの要望などがない限り扱いに困るもの。
最低限、書き留めておいた方がいいものをまとめてみました。
基本情報 | 名前、生年月日、住所、本籍地、出生地、電話番号 |
生前 | 延命治療、介護 |
死後 | 葬儀全般、知らせてほしい人 |
生活関連 | 各種契約全般、口座、ペット、 |
その他 | 趣味、特技、家族へのメッセージ、デジタル関連のIDやパスワード |
これは私の経験談。
最近、同居していた義父が亡くなったのですが、そのあとの各種契約関係の処理が一番困りました。
喪主だった夫は、葬儀での役目を終えたあとのこととなったら、ほぼ私に丸投げ。
葬儀が終わっても気疲れする毎日でうんざりしました。
ですが、普段しないようなことを身をもって経験できたので、いい勉強になりました。
いざ身辺整理を始めると、想定外はつきもの。
日常生活に影響しそうなモノや各種契約について細かく書いておくのも大事かもしれません。
例えば
- 契約者と口座引き落とし名義が違うもの
- オプションの解約手続き
- 電子化された契約関連のIDやパスワード
などといったもの。
契約類に関しては、年々複雑化しているうえ内容がペーパレス化しているところもあり、解約したはずなのに未払いの通知や請求書が届いたなんてパターンがあります。
電子化されているものについては、アナログ人間でもスムーズに手続きできるよう、わかりやすくしておく必要も。
プライバシーにかかわる事柄も中にはありますが、自分に万が一何かあっても家族が困らないのが一番。
それにノートに書くことで、自分の脳内整理ができて曖昧な記憶を持たずにすみます。
「死後」なら、残された家族がどうやったら困らないか
書くきっかけやタイミングは?
エンディングノートというと、年金生活や介護を意識したあたりがベストなのかなと思っていましたが、そんなことはないみたいです。
割と身近な場面にキッカケがあるので、もしこれをみてハッとした方は書いてみるといいかもしれません。
・家族が増えるなどライフスタイルが変わった
・テレビや雑誌でたまたま見かけた
・病気やケガで健康に不安を感じた
・身内が亡くなって、相続や手続きを目の当たりにした(経験した)
「こんなはずじゃなかった」という場面、少なからずどこかで訪れるもの。
ですが、なるべく早い段階で書き始めた方が、あとから自分史として振り返ることもできるので、将来を有意義に過ごすために「大人のゆとり」が持てそうです。
今は仕事に、育児に、家事と「そんな余裕がない!」というのが一番の言い訳ですが、正直そういうのを書くのは早すぎると思っていました。
ところが、義父が亡くなったことでエンディングノートをより意識するようになりました。
相続以外にしなければならない手続きをほぼ私がメインで担当。
「これって当然の勤めなの?」と納得しない私。
思いのほかエネルギーを消費し「なんで私が」とイライラしたこともありました。
ただ、これを「自分だったらこうしておこう」とプラスに捉えていた気がするので、今考えるとノートを書くタイミングってココだったのかなと思いました。
またここ最近、私の周りで突然死やガン宣告された人もいて「終活」という言葉がより身近に感じてきました。
何かきっかけがあったときに書くと記憶が鮮明なので、まとめやすいということもありますね。
作成や保管をするときに注意すること
「法的効力がないので書き方は自由」とはいっても、より中身の濃い仕上がりにするとなればそこにはデリケートな内容も含まれるもの。
特に財産やプライバシーなどに関わることを生きているうちに見られた場合、必ずトラブルのもとになります。
最低限ここはおさえておきましょう。
1.信頼できる人にエンディングノートの存在を伝える
2.遺族が探しやすい場所に置いておく
3.いつか誰かに見られるものと意識して慎重に書く
エンディングノートを書き始める段階で、「自分ルール」を書き留めておくと、あとから修正しやすく、長く続けられるノートづくりができます。
どんなノートを選べばいいの?
いざ書くとなっても何を基準に選べばいいのか悩むもの。
書き方が自由なので、選ぶ「ノート」もきまりはありません。
ここでは3つの方法をご紹介します。
一般的な項目をおさえている市販品
引用:https://www.kokuyo-shop.jp/shop/ProductDetail.aspx?sku=4901480257648&CD=&WKCD=
商品名 | コクヨ もしもの時に役立つノート |
税込価格 | 1,728円(メーカーサイト販売価格) |
サイズ | 252㎜×179㎜(セミB5) |
仕様・オプション | オレフィンカバー付き ディスクケース付き |
記載済み内容 | ・事例と記入のコツ ・基本情報 ・資産(預貯金、保険、年金など) ・デジタル関連、趣味、ペット) ・家族、知人 ・医療、介護 ・葬式・お墓 |
どこから手を付けていこうか悩んでいる人にオススメです。
なかでもコクヨのエンディングノートは人気の高い商品。
一般的な項目がしっかり記載されているので、書き始める際ペンを走らせやすいです。
これ以外にも終活カウンセラーが手掛けたノートや説明書つきのモノも販売されているので、面倒がらずに書き進められます。
一般的に必要な項目が抑えられているので、そんなにあれこれ残す必要がないという人であれば、市販品で十分かもしれません。
デメリットとしては、ページに制限があるので、途中から項目を増やしたい時に収まりきらないという可能性があります。
いざときノートというものもあります。
いざときタンサックの編集部としては親近感を覚えるノートです。
大学ノートで自作なら無制限
市販品にも自由に記入できるスペースはありますが、一般的な項目だけしっかり押さえればよしとするのもの。
ですが、項目によってはそのページに収まりきらず情報が点在する可能性もあります。
その点、大学ノートは自由度が高いので、必要な項目を細かくしっかりまとめておきたい人には便利。
ただ、白紙にイチから書くことになるので、設定や項目を考える手間が当然増えます。
そういったことを踏まえ、煩わしさを感じるようなら大学ノートは避けた方が無難です。
また、どこにでも売っているノートなので、わかりにくいのも少々問題。
肝心な時に捨ててしまったなどとならないよう、一目でエンディングノートだとわかるようにしておきましょう。
気軽さ重視ならデジタルで
ノートに向かってペンを走らせる時間が取れないという人には断然デジタルですね。
なんでもデジタル化の時代なので、「PCのフリーソフト」から「アプリ」まであります。
ただ、ソフトやアプリに頼らず、オフィスソフトを使って自由に描く手法も1つの手。
思いついたことをすぐに文字に起こすぶんには、大学ノートよりも手っ取り早く自由度が高いので効率が良いかもしれません。
ただし、手軽に作り込んだのはいいけれど、肝心な時にパスワード不明で開けない、あるいはパソコンが手元にないなどデジタルあるあるが難点。
デジタル機器の扱いに慣れている人をきちんと選ぶように注意しましょう。
書き残しておきたい内容が人それぞれなら、エンディングノートへの向き合い方も人それぞれ。
今はなんでもスマホでラクな時代、アプリもあるのにビックリしました。
ただ、私の場合はデジタルよりもお気に入りのボールペンで、紙に書くことの方が性に合っている感じです。
特にルールがあるわけではないので、今の生活スタイルに合わせて続けやすいノートを探してみてください。
まとめ
エンディングノートは、老後を身近に感じるようになってからでいいかなと考えていました。
しかし今回色々調べているうちに、「自分の寿命もそろそろ」というときではなく「人生の節目」を感じた時点で書くべきなんだと考えさせられました。
私が30代に入ったあたりからより一層エンディングノートに対して意識しなければと思う出来事をいくつか経験。
その中で、これは絶対に書いておくべき項目あると確認することもできたので良かったです。
「終活」という言葉が世に出始めてから、様々なエンディングノートが販売されていますが、キレイに埋められる自信はありません。
理由は簡単「ズボラ」だから笑
それだったら安い大学ノートに備忘録のように書いていった方が気持ちの断捨離にもなりそうです。
単なる備忘録にならないように、とりあえず子供の代まで安泰させるための虎の巻を書き始めてみようと思います。