これまで墓じまいに行ったことはありますか?
行ったことの無い方も、安心してください。
初めての方でも、時間を取らずすらすら理解ができるようにバッチリまとめました。
当日までに様々なところから情報を集めて、準備するのは大変ですよね。
だからと言ってあんまり簡単に考え過ぎて「やっぱりこれで良かったのかな。」
なんて迷いたくもないですよね。
墓じまいは故人と私たちの関係のあり方を改める、貴重なイベントです。
準備やマナーについてはここでしっかり抑えて、故人について考える時間を大切にしてほしいと思います。
墓じまいって漢字にすると「墓終い」とか「墓仕舞い」ですし、何だかどことなく悲しい響きがするかも知れません。
私も初めはそう感じていました。
ですが、実際はそんな事ないんです。
繰り返しになりますが、墓じまいは故人と私たちの関係のあり方を改めるとても貴重なイベントです。
言い方を変えれば、故人を思い返しながら、私たちそれぞれに合ったより良い供養にする事もできます。
墓じまいをするご家庭は、それぞれのご事情もあっての事でしょうけれど、その様に考えてみると、とても素晴らしい事だと思いませんか。
一緒に考えていきましょう。
まずは墓じまいの全体的な事についてご紹介しながら、香典やお布施などに関するより詳しい話に入っていきたいと思います。
「墓じまい」に当たって
これから「墓じまい」をされる方、「墓じまい」を検討されている方の中には、色々なご事情があって悩む方もいるでしょう。
何から考えていけば良いのか分からず、困ってしまう方もいるかも知れません。
「墓じまい」に行った事の無い方であれば、なおさらです。
「費用ってどの位かかるんだろう。」
「家族とはどう話し合えばいいだろう。」
私の実家も今まで「墓じまい」をした事が無かったし、家族と離れて暮らしていたので、話が持ち上がってから実行するまでには、けっこう時間がかかりました。
話がまとまり、「墓じまい」をする事に決まってからも考える事がありました。
私の実家は「通夜」と「告別式」以外の法事は、小さく、内々だけで行っていたのですが、遊びに来た時は、必ずお墓参りに行ってくれていた親戚もいました。
とても義理堅いので「墓じまい」をすると言えば、きっと来てくれるだろうとは分かっていましたが、遠方から来るのは大変でしょうし「香典」や「お布施」など、参列してもらったらきっとお金を負担させてしまうだろうな。
来てくれるのは嬉しいけれど、なんか申し訳無いなぁと思っていました。
けれど意外だったのですが、「墓じまい」に香典は必要無いらしいんです。
その時は「墓じまい」はもちろんの事、他の法事についてもあまり知識が無かったので、どうして「墓じまい」に香典が必要無いのか、さっぱり分かりませんでした。
けれどこの話を、親戚の人たちに前もって言っておけた事は良かったと思います。
中には普段の法事と同じように、香典を包んできてしまう方もいるようです。
ですから皆さんも親戚の人たちに来てもらう際は、あらかじめこう伝えておきましょう。
香典は要らないからねー。
さて「墓じまい」の様な普段行わないような行事があると、一番ストレスになるのは、お金の事ですよね。
ここでは、当日に必要な参列費用についてご紹介します。
離檀料や書類の手続きの費用などに関しては、↓のリンク先をご覧ください。
香典・お布施(参列にかかる費用)
香典についてはすでにご説明しましたが、これは必要ありません。
そもそも香典とは御霊前に供えるものですので、魂抜きをする「墓じまい」の場合、御霊は墓の外に出てしまいますので、供える必要はありません。
お布施はだいたい3~5万円が相場です。
これは神仏に捧げる「お気持ち料」ですので、無理の無い範囲で構いません。
さらにお布施は、僧侶にお渡しするものとしての意味合いもあります。
具体的には、遠方から来てもらった場合、「御車代」を出すのがマナーになっています。
また供養後に会食をする場合は、「御膳費」を包みます。
どちらも一般的な相場は、5千~1万円程です。
このようにお布施にはそれぞれに見合った意味があります。
内容ごとに袋を分けて渡すようにしましょう。
「墓じまい」は日常的な経済活動とは違った、宗教的な儀礼です。
確かにお布施があまりに安値だと失礼に当たってしまいますが、あくまで費用ではなく「お気持ち料」と捉えれば、晴れやかな気持ちでお渡しできるのではないでしょうか。
お布施袋
お布施の金額について分かれば、次に用意するものと言ったら「お布施袋」ですよね。
手頃なものから、フォーマルなものまで一挙にご紹介します。
閉眼供養用
まずは閉眼供養(お墓からご先祖様の魂を抜く儀礼)で使用するお布施袋です。
コンビニや百均に売っているような、安価のものでも全く問題ありません。
「御布施」と書かれている封筒を買いましょう。
「御布施」の文字の下に、名前を書き、裏にも名前、さらには住所と金額を書きます。
後はお金を入れれば完成です。
水引は無いタイプを購入しましょう。
少し高値の多当折りタイプのお布施袋には、袋のなかにさらに中袋が入っています。
この封筒の場合、金額は中袋の表に書きます。
僧侶への感謝を込めて、一番丁寧な形でお布施を渡したい方には、奉書紙(ほうしょがみ)をおすすめします。
古くは幕府が公文書用として使用していた伝統的な和紙です。
包む金額はあんまり高くないのに、そんな立派な紙を使ってもなぁ。
この様に遠慮してしまう方もいるかも知れません。
しかしお布施の紙を奮発してみるだけでも、雰囲気はガラッと変わります。
お布施の金額がそれほど高値でなくとも、奉書紙に包み、感謝を込めて僧侶へ渡すことは、とても素晴らしいことではないでしょうか。
開眼供養用
続いて開眼供養(ご先祖様の魂を、新たなお墓に入れる儀礼)で使用するお布施袋です。
お墓が新設されるという事は、ご先祖様たちの新しい拠り所ができたという事ですよね。
これはとてもめでたい事です。
晴れやかな気持ちをもって参列したい開眼供養。
この場に適したお布施袋は、紅白の祝儀袋です。
そして水引が上向きで、熨斗(のし)がついていないタイプを購入しましょう。
表書きには「開眼御礼」あるいは「開眼御祝」と記入します。
ただし納骨式も兼ねている場合は、慶事(けいじ)とはなりません。
閉眼供養と同様、水引の無い封筒に「御布施」と書いてお渡しましょう。
数字の書き方
金額の書き方には、独特なルールがあります。
まず数字の頭には「金」を、数字の最後には「圓也」を入れましょう。
また漢数字は、以下の通り大字(だいじ)を使用します。
盆・袱紗(ふくさ)
お布施をそのまま手渡しすることは、失礼に当たります。
お布施を持ち運ぶ際は、袱紗(ふくさ)という布に包みましょう。
お渡しする際は、切手盆に載せて差し出すのが一番望ましいです。
ですがこれも絶対的なマナーではありません。
お盆が用意できなかった時は、袱紗に載せたまま、表書きを僧侶に向けてお渡しましょう。
服装について
続いては服装です。
「墓じまい」には、どんな服装がふさわしいのでしょうか。
こういう行事に参加する場合は、喪服が普通なんじゃないの?
こう思われる方がほとんどでしょう。
決して間違ってはいませんが、実は「墓じまい」にはいくつかのステップがあります。
主な流れは、閉眼供養→解体工事→開眼供養(改葬の場合は)という様な感じです。
まず墓石をもとの石の状態に戻す閉眼供養(魂抜き)を行い、それから石を解体して、別の場所へお墓を設ける場合、改めて開眼供養を行います。
それぞれに適した服装はコチラです。
・閉眼供養
通常の法事と変わらず、喪服を着用します。
・解体工事
これは状況によって異なります。
閉眼供養から日にちを空け後日、解体業者だけを呼んでお坊さん無しで行う場合は、私服で構いません。
・開眼供養
新たにお墓が新設されるのですから、とてもめでたい事でもあります。
必ずしも喪服である必要はありません。
慶事(けいじ)と言ってもフォーマルな場ですので、女性ならば略礼服や柄のない着物、男性ならば喪服やスーツになりますが、グレーや紺色のような、多少色味のある服装を選ぶのが好ましいです。
白色のネクタイなどを用いれば、さり気なくお祝いのムードを演出できます。
喪服でも構いませんが、閉眼供養ほど厳密ではありません。
ただし納骨式も兼ねていないかどうか、一度確認しましょう。
慶事(けいじ)とならない納骨式では、喪服を着用する事になります。
さまざまな供養
閉眼供養や解体工事が終わったところで、それから考えることと言ったら「遺骨をどこに供養するのか」という事でしょう。
「墓じまい」の手順としては、この段階まではみんな一緒です。
けれどここからは、人それぞれです。
前述で「開眼供養」について簡単に説明しましたが、これは改葬と言って、新たにお墓を設けて遺骨をお引越しさせ、そこで改めて供養するといった方法です。
しかし供養の方法は、これだけはありません。
供養の方法について詳しく知りたい方は、下記のページをご覧ください。
私の実家は改葬する事にしましたが、お坊さんの話を伺ってみると、手元供養なども素敵だなと感じました。
骨壺も現代では、小型でおしゃれな物も販売されているので、それならば故人を日常生活の一風景として身近に感じることができます。
お墓を手放したあとも、さまざまな供養ができます。
お寺へ行って手を合わせるだけが、供養という訳ではないんです。
まとめ
「墓じまい」とは閉眼供養を行い、墓地を管理者に返すための儀礼です。
そしてその後の供養には、いくつもの方法がある事を確認していきました。
香典は要りません。
お布施を3~5万円ほど包めばOKです。
墓じまいは、ご先祖と私たちの関係のあり方を改める上で、大切なイベントです。
上記で見てきたように、本当に価値観は人それぞれ。
だから色んな供養の仕方があっていいんです。
あまり堅苦しく考えず、もし迷ったら、故人との思い出を振り返りましょう。
そして未来を想像すれば、供養の仕方が見つかってくるはずです。
墓じまいについて、一通りご説明していきました。
皆さん後悔の無いようご家族と話し合い、自分たちにあった最適な供養を行いましょう。