その他の有名な作品番号
BWVやK(ケッヘル)の他にも、クラシック音楽の楽譜には1人の作曲家だけに使われるいろいろな作品番号があります。
代表的なものをいくつか見てみましょう。
ハイドンのHob(ホーボーケン)
フランツ･ヨーゼフ･ハイドンのHob(ホーボーケン)番号をご紹介しましょう。
これは、フランツ・ヨーゼフ・ハイドン作曲のピアノソナタ第50番Hob.XVI/37の楽譜です。
オレンジのラインが引いてあるところがHob(ホーボーケン)番号です。
オランダの音楽学者アントニー･ヴァン･ホーボーケンという人が、ハイドンの曲をまとめて本を出していますが、このことからHob(ホーボーケン)番号といわれます。
じつはこの曲は、わたしが音大入試の副科ピアノ試験で弾いた思い出深いもの。
あの必死で練習していたころがなつかしいです。
この人がハイドンさんです。
ハイドンは、モーツァルトと同じオーストリアで1732年に生まれた、古典派を代表する作曲家の1人。
｢交響曲の父｣とか｢弦楽四重奏の父｣とか呼ばれていて、クラシック音楽界ではとっても有名な人なんです。
シューベルトのD(ドイチュ)番号
次はフランツ･ペーター･シューベルトの楽譜に使われる、D(ドイチュ番号)です。
これは、シューベルト作曲の交響曲第7番｢未完成｣の楽譜です。
オレンジのラインのところに｢D｣が書かれていますね。
これはドイチュ番号とよばれ、オーストリアの音楽学者オットー･エーリヒ･ドイチュによって作られました。
この作品番号はDeutsch-Verzeichnis(ドイチュ･ヴェルケフェアツァイヒニス)を略して｢D｣と書かれます。
書き方は国によって様々で、Dとか、DのあとにピリオドをつけるD.、またはDVと書かれることもあります。
ちなみに、Dの上にOp.posth.とありますが、これは｢死後出版｣という意味で、シューベルトが亡くなった後に楽譜が出版されたことを表しています。
フランツ・ペーター・シューベルトも、モーツァルトやハイドンと同じくオーストリアで1797年に生まれました。
ロマン派時代の作曲家で、たくさんの歌曲を作曲し｢歌曲王｣といわれた人。
31歳という若さで亡くなりましたが、歌曲のほか、ピアノ曲、交響曲、室内楽曲など約900曲も残しました。
まとめ
今回は、楽譜に書かれているOp･BWV･K(ケッヘル)についての解説と、その他の有名な作品番号もいくつかご紹介させてもらいました。
曲を練習するときや鑑賞するときは、楽譜の音符や聞こえてくるメロディーの流ればかりに意識がとらわれていると思います。
ですが、時には楽譜に書かれた作品番号にも目を向けてみましょう。
その曲が作曲された年代はどんな時代で、世界ではどのような事が起こっていたか？
作曲者自身はどういう状況でその曲を作ったのか？
クラシック音楽は、作品番号のウラにある、曲の背景を考えて演奏したり鑑賞したりすることも大切です。
明るい曲でも、作曲家自身は家族を亡くして悲しみを背負った状況で曲を作っていることもあるし、逆に、暗い曲でも曲を作った当時の作曲家はとてもハッピーな状況であることもあります。
作品番号から、作曲家の生きていた当時の状況を考えてみるのも興味ぶかいですよ。
こういったことを取り入れると、より豊かな表現力をもった演奏になるし、曲を鑑賞していてもより深く曲を楽しめるようになりますよ。
今回取り上げた以外にも、1人の作曲家にだけ使われる特別な作品番号がたくさんあります。
いろいろ調べてみるとおもしろいことが発見できますよ。
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