近年、墓じまいの件数は増えているようです。
「遠方に住んでいるため、お墓の管理が難しくなった」
「お墓を管理する家族がいなくなるため、自分の代で墓じまいをしたい」
「お墓を1つにまとめたい」
など、理由はさまざま。
そしてその時に準備が必要となるものが、お布施(おふせ)です。
しかし墓じまい自体が、人生でそう何度も経験するものではないので、お布施についてもわからないことだらけ。
私にもいつか、墓じまいを決断する日が来るかもしれませんが、その時が来たらまず調べまくると思います。
包む金額はいくらが適当なのか?
お布施の包み方や書き方は?
渡すときのタイミングはいつで、どう渡せばいいんだろう?
今、墓じまいをしようと考えている方も、初めてのことならばきっとこの3つの疑問は抱いているでしょう。
今回はこれら3つの疑問について調べて、答えを用意しました。
疑問を解消して、当日の供養を万全の状態で迎えましょう。
墓じまいのお布施は謝礼。金額の相場は
それでは、まずお布施は謝礼であるという話と、金額の相場について説明します。
これはお布施の疑問数NO.1でしょう。
まず、墓じまいに関するお布施は4種類あります。
そのお布施の種類と相場は以下の通り。
- 閉眼供養(へいがんくよう)のお布施:3~5万円
- 御車料(おくるまりょう):5千円~1万円
- 御膳料(ごぜんりょう):5千円~1万円
- 離檀料(りだんりょう):5万~20万円
しかし正確な答えを言えば、お布施の金額はあなたの『お気持ち』で、いくらでもいいのです。
え?なんだそりゃ!
ですよね。
まず、これら「お布施」はお坊さんへの感謝の気持ち。
これは法律や義務ではなくて、気持ちなのです。
だから極端な話、0円でも100万円でもいいわけです。
あなたはここで示した相場、かつ無理しない範囲内で、お坊さんへの感謝の気持ちとしてお渡ししたい額を包めば良いんですよ。
それではそれぞれのお布施について、順番に見ていきましょう。
まずは閉眼供養についてです。
お布施の相場は3~5万円ですが、個人的にお付き合いがあるお寺にお願いしたい場合、もう少し多めがいいです。
10万円近く包むことも考えましょう。
さらに、必要に応じて「御車料」や「御膳料」を準備します。
これもお気持ちになります。
例えば、わざわざ遠方から足を運んできてくださったから御車料は多めに包もう、とか。
相場の間をとって7千円か8千円くらいにしよう、とか。
先ほど示した5千円~1万円の相場内で、無理のない金額を包みましょう。
お布施、御車料、御膳料、そしてもう1つ、家が檀家に入っている場合は「離壇料」が必要です。
檀家というものをよく知らない人のために、簡単に説明しておきましょう。
お墓を作る時にお寺さんに頼んだ場合、お墓を作った家はそのお寺さんに所属するかどうか選択することになります。
お寺さんに所属すること=檀家に入る、と言います。
檀家に入るとお墓の管理をしてもらえたり、供養を手厚くしてもらえたりするというメリットがあるんですよ。
そして檀家に入っているお寺のお墓を墓じまいするときは、この檀家を離れることになります。
なるほど、それで「離檀料」を包むというわけか。
これまで私たちのお墓の管理をしてくれてありがとうございましたと、これも『気持ち』を包むんですね。
もし墓じまいをする際は、檀家に入っているかをちゃんと確認しましょう。
檀家に入ると年に1回、お寺の管理費用として「檀家料(だんかりょう)」というものを支払っているはずです。
わからなければ管理している自治体や、お寺さんに直接聞いてみましょう。
さて、ここまでお布施、御車料、御膳料、離檀料の4つについて説明しました。
相場の金額を知ったうえで、あとはあなたのお坊さんへの感謝でどれくらいの額を包むかを決めましょう。
気持ちベースでということなので、檀家に入っていて閉眼供養3~5万円の相場範囲内ならば、なるべく5万円を包む方向で考えたいですね。
本来ならば自分たちでしなければならないところを、お寺さんが代わりに管理してくれていたのですから。
そこ数日の間という話じゃなくてウン十年、管理してくれていたんだもんね。
無理や背伸びはせず、よければ可能な限りの額を包みたいですね。
お布施の包み方、書き方は難しくない
包む金額がわかったところで、次はお布施の準備について、流れで説明していきましょう。
まずお布施を包む袋、お布施袋を買いに行きます。
水引(みずひき)は付いていないものを選ぶのが無難です。
水引の色は種類があって、お祝い事なのかそうじゃないのか、また地域によって好まれる色が異なるからです。
例えば、黄色と白の水引がついているお布施袋がありますが、これは関西での風習。
水引は何色がいいのかを調べるよりも、オーソドックスな水引なしのお布施袋を選んだほうが迷わずに済むね。
100均でも手に入ります。
先程の写真のような「御布施」とあらかじめ書かれたお布施袋が無かったら、このように真っ白な無地の封筒でもOK。
引用:www.amazon.co.jp/dp/B00HJFTV22
ただし郵便番号の欄がついているようなものは避けて、「慶弔用」などとして売られているものを選んでください。
次はお布施袋に文字を書いていきます。
表には上半分に「御布施」、下半分に「○○家」と書きます。
裏には左側に住所と金額を記入します。
封筒の準備はこれで完了。
あとはお金を包むだけです。
お悔やみごとではないので、シワの入ったお札は使わずピン札を入れるようにして下さい。
お金と共に、しっかり感謝の気持ちも込めておきましょう!
結婚式のご祝儀の準備と似ていて、お布施の準備はそんなに難しいことはありませんね。
渡すタイミングは最後!気持ちを込めて
ではお布施はどのタイミングで渡すのがベストなのか。
答えは閉眼供養が終わってから、お坊さんが帰る直前に渡します。
お渡しする時は、次のような切手盆(きってぼん)にのせてお渡しするのがベストです。
引用:www.amazon.co.jp/dp/B085FZPYD3
次の動画はお通夜や葬儀での話になっていますが、お布施の渡し方がわかります。
切手盆には上から「閉眼供養のお布施」、「御車料」、「御膳料」の順番で乗せてください。
せかせかせずに、ゆったりとした動きで渡すとそれらしい雰囲気が出そうですね。
もし切手盆が用意できなければ、袱紗(ふくさ)を用いても構いません。
やり方は次の動画のように、袱紗にお布施をしまっておき、お渡しする時に袱紗の上にお布施を置くような状態でお渡しします。
この動画もまたお葬式での話で墓じまいとは違う状況ですが、袱紗の上に置いている状態で渡しているところに注目してください。
とても丁寧な印象を受けますね。
袱紗は派手な色のものは避けましょう。
紫色は、冠婚葬祭で万能カラーなのでおススメですよ。
お渡しする際は丁寧に一言、お坊さんにお礼の気持ちをちゃんと伝えるのを忘れないように。
例)「本日はありがとうございました。些少(さしょう)ですが、こちらをお納めください。」
最後が肝心、ということですね!
お坊さんへ感謝のお布施を渡し終えれば、これにて墓じまいの閉眼供養も無事に終了。
おつかれさまでした!
まとめ
さあ、これで墓じまいのお布施について知っておくべきことを、わかっていただけたと思います。
お坊さんやこれまでお墓を管理してくれていたお寺への感謝の気持ちが、全てのポイントです。
包む金額については多いに越したことはないかもしれませんが、当然、家庭それぞれの考えがあります。
それよりも当日、しっかりお礼の気持ちと言葉をお布施とともに納めることが大事。
それがお布施の本質なんだと思います。
墓じまいは、家族や自分のご先祖さん達にとって大きな節目になる儀式だから、失礼になることはせず無事に終わらせたいものです。
当日は心を落ち着かせて閉眼供養をしたい。
準備から当日のマナーまでをしっかりおさえておいて、万全の状態で墓じまいを行いましょう。